CPUを比較をしてみました!(第8世代)

computer_cpu最近は、パソコンのCPUも第8世代だの第7世代だのいっぱい種類が増えて、いったいどれが良いのかよくわからないみたいなことになってきました。
しかしどれが良いのかと言うと、それは「その人によっての良い基準」によります。

一般的には、大きく分けて3つ基準があるように思います。

  • 処理能力(応答の速さ)
  • 消費電力(バッテリ駆動時間の長さ)
  • 販売価格(価格の安さ)

そして、残念ながら販売価格と性能は両立しません。

CPU比較表

それでは、CPUがどのくらい違うのか。
当店にて現在販売中の機種に搭載されているもので比較してみたいと思います。(2018年5月)cpu比較2018年05月項目の解説
ベース動作:基本となる最大動作周波数。いつもこの速度で動作しているわけではなく、必要ない時は更に低速で動作している。専門的な意味でのベースクロックとは意味が異なる。
ブースト時:ターボブーストやバーストなどが適用されたときの最大動作周波数。処理にかかる負荷が高くなったとき、必要に応じて最大動作周波数を引き上げて処理能力を稼ぐことができる。その最大値となる。
コア:コアの数。演算装置の物理的な数。
スレッド:スレッドの数。演算装置の論理的な数。スレッドとは処理の単位。この場合、処理の効率化を図り、1つのコア当たり2つのスレッドを実行できるようになった。このためシステムからは、この数字の数だけ演算装置が搭載されているように見えている。なお廉価版のCPUには搭載されていない。
Passmarkスコア:ベンチマークテストの一つ「Passmark」により測定された得点。ベンチマークテストとは、特定の負荷状況を再現させ、その処理にかかった時間などを元に能力を数値化しすること。得点が高いほど高性能ということになる。これはPassmarkが作り出した負荷に対しての点数であって、世に存在する全ての負荷に対してそうであるとは限らないので、あくまで優劣を判断する目安に過ぎない。(学生の期末テストの成績のようなものである。)
TDP:Thermal Design Power(熱設計電力)のこと。放熱設計の基準として扱われる。インテルでは、全てのコアがアクティブで、ベース動作周波数で動作している時の平均消費電力の値としている。その時の発熱量において正常動作することを目標に冷却システムを設計する。数値が小さいほど、低消費電力であり低発熱であるので、装置の薄化・小型化に貢献する。


再び表を見てみます。
cpu比較2018年05月処理能力で言えば、第8世代のCore i7(8550U)がダントツで優れていることが分かります。
処理速度を重視される方は、表で言えばより上段に掲載されたものが搭載されたパソコンほど良いパソコンとなりますが、残念ながら、一般的にパソコンの販売価格も一緒に上昇していきます

次に、バッテリ駆動の時間で考えた場合、単にCPUだけで選ぶとTDPが4.5WのCeleron 3965Yとなります。
このとき、あわせて考えられる要素として、パソコンの重さや大きさ(薄さ)などが挙げられます。
CPUとバッテリ駆動時間によって、パソコンの重さが変わってきます。それは物理的な重さを伴うバッテリの搭載量によるからです。
薄くて軽いパソコンは必然的にバッテリ搭載量も減りますので、消費電力が低いCPUほどバッテリ駆動時間が長いと言えるのです。

しかし、NECや富士通などの国内メーカーによって、薄くて軽くてなるべく高性能でなるべくバッテリ駆動時間を確保した機種を一生懸命開発しました。これらのパソコン、例えばNECのHZ750/GAでは、13.3インチのタッチパネルディスプレイで、とても薄く(16.9mm)、Core i7-7500Uを搭載してなおバッテリ駆動時間が約10時間に及ぶにも関わらず、重さが1キログラム(約831g)を切っています。※全てカタログ値
結果として、パソコンの販売価格は高価なものとなってしまいますが・・・。
やはり一般的に薄さ(重さ)と処理能力を両立させた場合も、販売価格は上昇していきます

ちなみに、Celeron 3965Y搭載のNECのNM150/KBは、12.5インチディスプレイで、バッテリ駆動時間が約11.7時間、重さは約924gとなっています。※全てカタログ値
このことから、CPU以外にも消費電力に関与することがわかります。
この機種の真価はファンレス(CPUファンが無いこと)であり、動作音がほぼ無音ということです。

販売価格を重視すると、行きつく先はCeleron搭載機になります。
処理能力に関しては、Celeronはその世代の廉価版のCPUなので、絶対に同世代のCoreに勝ることはありませんが、ワードやエクセル、インターネットなど一般的な処理であれば、格別劣っているということもありません。(実際の内容によります・・・。)
それでもPassmarkスコアで見れば、Celeron 3865Uでも約10年前の高性能CPUであったCore2 Duoに勝っているうえに、より省電力になっているのがわかります。
10年前のPCに比べてパソコンが薄くて軽くなっているのを裏付ける要因の一つです。

実際に安価な15.6インチの一般的なノートパソコンであればCeleron 3865Uが搭載されており、11.6~13.3インチくらいの薄型ノート(ネットブック)であればCeleron N3350が搭載されているものがほとんどです。

さて中古のパソコンの場合は、やはり安くなるほど年式が古くなっていきます。
執筆現在のジョイメイトでコンスタントに在庫のある中古PCでいうと、ちょうどWindows7の出始めの頃のパソコンが主流です。
2009~2010年頃のものとなりますので、まさに約10年前のパソコンです。
CoreシリーズのCPUが搭載されているとしても、場合によっては現在の廉価版であるCeleronに劣る場合すらあるので、当時のCeleronであれば言わずもがな。

ただし、ジョイメイトの中古パソコンは通常、記憶装置を新品SSDに交換してあるため、パソコンの体感速度を比較した場合、新品のパソコンに全く引けを取りません。※格安中古としてあつらえた商品は除く
パソコンの体感速度の主なボトルネックは記憶装置だと言っても過言ではないのですが、今回はCPUの話なので詳しくはまた別の機会に。

ここであえて申し上げると、やはり何を重視されるかによって購入するパソコンを決めるのであって、CPUの優劣のみで選ぶものではないということです。
結局のところ、CPUは購入するパソコンを決める選択肢のひとつに過ぎず、パソコンの使用目的こそが重要ということになります。
後から交換できない部品ですので、どうか慎重に選んでください。


参考リンク:Passmark Software(英語)

参考資料:CPUのモニタリング

ここからは、上のCPU比較表に出てきた項目について見ていきたいと思います。
Corei7-3770-temp画像は、筆者も実際に使用している社内業務マシンに搭載されているCPUを、この投稿を執筆中の合間にモニタリングソフトで見たところです。
デスクトップ用のCore i7-3770(第3世代)が搭載されている、2012年頃のパソコンです。
※上のCPU比較表は全てノートパソコン用のCPUです。

i7-3770は4コアなので、Coreは0番~3番の4つになっています。
しかしハイパースレッティングにより8スレッド処理ができるので、CPUは0番~7番の8つになっています。
CPUが8つあることになっているということです。

動作周波数に目を向けてみると、この瞬間ではコア 3番が1596MHz(約1.6GHz)で動作しており、ベース動作周波数である3.40GHzを大きく下回っていることが分かります。
ちなみにどのコアも今回の稼働中に記録した最小値は1596MHzとなっています。
これはIntelの場合はSpeedStepテクノロジといい、消費電力や発熱を抑える目的で備わっています。
大雑把に言うと、用が無い時や熱すぎる時に休めをしているのです。
SpeedStepの初出は、なんとPentium IIIという1999年に登場した当時の高性能CPUです。

同じタイミングでは、コア0番と1番は3891MHz(約3.9GHz)で動作しており、どのコアも記録最大値が同様なことから、この値が最大値であると考えられます。
ところがベース動作周波数3.40GHzを超えているため、この値がターボブースト最大値の3.90GHzのことであると考えられます。
このことから、ベース動作周波数に関わらず、処理の負荷に応じて常に変動させている事がわかります。

消費電力についても、記録最大値でもっとも高いものでも25.89Wとなっており、TDPの77Wまでまだまだ余裕があります。


余談ですが、温度も表示されています。
記録最大値で51℃になっています。
CPUごとに許容温度が設定されていて、その温度を超えた場合、事故を防ぐために強制的に電源が切れたりするようになっています。
Intelの場合100℃前後になっていることが多いです。

もし使用中に電源が落ちてしまうという方は、これが原因である可能性が高いです。
言い換えれば、CPUが正常に冷却できなくなっているということです。

心当たりのある方は、騙し騙し使うなどということはせずに、早急に対処なさってください。