今後リモートワークはどこまで浸透するのか?

リモートワーク
リモートワークの実施率が低い業界にいると変化を感じませんが
一部では「今までと働き方が変わりましたね」と話が飛び交っています。
世界的なコロナウイルスの影響によって
オンラインツールの導入などが一気に進みました。
ウイルス騒動がなければ、ここまで前倒しで普及しなかったでしょう。
今までパソコンがなくても、スマホやタブレットで良いと思っていた人も
リモートワークをするなら、やっぱりパソコンも必要という時代になりました。

我々はリモートワークをしていませんが
世の中のリモートワーク需要については肌で感じています。

過去の実例に見るリモートワーク

アフターコロナはコロナ前の世界には完全に戻らないと言われています。
リモートワークによって、通勤しなくても仕事ができる事を体験したから
もう出社する世の中に戻れないよなと思う人もいるかもしれません。

しかし、完全にリモートワークに移行するのは難しいと
過去に米Yahooと米IBMが体験しています。

米Yahooと米IBMはウイルス騒動より先駆けて
リモートワークの導入に取り組んでいました。

しかし2013年米Yahooはリモートワークを禁止することになりました。
米IBMは2009年に社員の40%がリモートワーカーと公表していましたが
数年後、出社するか退社するかの二択を迫り
リモートワーカーをオフィス勤務に戻した過去があるらしいです。

当時もリモートワークに移行してオフィスが不要となり
IBMは各地のオフィスビルを約2250億円で売却して
在宅勤務は良い戦略だとされました。

リモートワークを禁止したYahooが自社の失敗を調査したところ
勤務時間中に副業や会社の立ち上げを行っていた者もおり
管理体制に不備、マネジメント的な欠陥があったと言います。

IBMはリモートワークによって
社員間のコミュニケーションが圧倒的に不足するようになりました。
信頼関係や会話からのイノベーションを生み出す機会が減ったので
リモートワークを廃止したと言えます。

どちらの企業もコロナウイルスより何年も前の出来事であり
当時はまだまだリモートワーク環境も整っていなかったと思います。

IBM出社再開ガイド2020年7月時
IBM2020年7月出社再開ガイドより引用

今現在の環境では、IBMもコロナウイルス感染症ピーク時
全世界で社員の95%が自宅から業務を行っていると
Return to Workplace 出社再開ガイドにありました。
とはいえ出社再開ガイドですから、やはりIBMは過去の経験から
出社は再開する必要があると感じているようですね。

日本でも同様の問題が生まれる可能性がある

今の日本では、働き方が変わった
通勤しなくてもよくなった
オフィスを廃止して固定費を削減できた流れが生まれています。

まだまだこの動きは続くと思われます。
しかし、先の米Yahooや米IBMのように
管理体制の不備や、コミュニケーション不足の壁にぶち当たるはずです。

昨今ではDX、デジタルトランスフォーメーションが叫ばれますが
今までのツールをデジタルツールに置き換えただけでは
デジタルによる変革、真のDXにならないでしょう。

例えばスミソニアン博物館には産業歴史遺産としてFAXが展示されています。
そんな歴史遺産がまだ現場では使われていたりします。

仮にビジネスの現場からFAXが姿を消して
全てメールやSNSでやり取りをするようになったとしても
使う道具が変わっただけで、ビジネス構造の変革が起きたわけではありません。

営業関係では、既存顧客に対してリモートワークで応対できるが
新規開拓ができないという話も耳にします。

既に信頼関係ができている相手とオンラインで対話をするのは
単に対面で会う選択肢が、オンラインに置き換わっただけにすぎません。
これは構造の変革を伴うDXではなく
単にツールをデジタル化したDXごっこと言えるでしょう。
もちろん今までと違う場所や時間に囚われない
利点が生まれるとは思いますが。

これがもし、オンラインを生かして新規開拓ができるようになった!
となればデジタルを活用し、ビジネスを変革したと言えるかもしれません。

これからまだまだリモートワークやDX熱が世の中にあると思いますが
YahooやIBMが直面した、管理体制やコミュニケーションを解決しなければ
やっぱり出社して対面でなければ成果が上げられない
リモートワークはやってみたけどダメだったなと
アフターコロナの世界では失敗談として語られている可能性もあります。

理想はorではなくomo

リモートor出社どちらかの手札ではなく
リモートしてもいいし出社してもいい、どちらの選択肢も手放さない。
そんな環境が理想ではないでしょうか。
まさにアフターデジタルのOMO(Online Merges with Offline)の考え方に近い
オンラインとリアルを明確に区切して考えるのではなく
生活にオンラインは融合し、無意識的に状況に応じて効率的な選択をする時代。

過去のIBMのようにオフィスをバンバン売り払って
リモートに切り替えたのも極端だし
いざオフィス勤務に戻すとなった時に、出社or退社の選択肢も極端です。

Googleはウイルス騒動前からリモートワークが選べる企業でした。
リモートするかは労働者に選択が委ねられ
Googleは出社を強制するのではなく
出社したくなる環境づくりを推奨していました。
突撃!世界各国のグーグルのオフィスはこんなにクール!(外部サイト)

労働者が今日はリモートの方が効率がいい
ある日は出社した方がいいと、自主選択できる環境を作ってきたようです。

ITを先導するGoogleらしい取り組みですね。

今はまだウイルス騒動が収まらないので
リモートワークは必然性によって行われているかもしれませんが
ウイルスが収まった時に、リモートを継続するのか
それとも出社に戻るのか
はたまたリモートか出社かフレキシブルに選択できるようになるのか
これから世の中がどうなっていくか注目です。