LANケーブルのカテゴリー7、カテゴリー8とは?

リモートワーク需要に伴って、自宅のネット環境を良くしようと
無線ルーターやLANケーブルの買い替えを、考えている方もいるかもしれません。
ここではLANケーブルにおける、カテゴリーのおさらいをしたいと思います。

カテゴリー一覧

こちらの表を御覧ください。
カテゴリー5eとカテゴリー6は速度は1Gbpsで同じ
帯域が150MHz違うだけ。
カテゴリー6Aとカテゴリー7は速度は10Gbpsで同じ
帯域が100GHz違うだけという見方もできます。

カテゴリー5eが普及しているので
表一番左のカテゴリー5を使っている所は、もはや多くはないと思いますが
たまに大昔に構築したネット環境の中に
この速度100Mbpsのカテゴリー5が混ざっているケースもあります。
その場合はそこが原因で通信速度が遅くなる可能性もあります。
事務所などでネットワーク配線が、ごちゃごちゃになっている場合は
古いケーブルが混ざっていないかをチェックすると良いでしょう。

カテゴリー7を謳ったケーブルが実は規格外!?

最近ではカテゴリー7を謳ったケーブルが
各社から販売されています。

しかし、そのほとんどがRJ-45と呼ばれるコネクタを
採用している製品がほとんどです。

カテゴリー6まで使用されているRJ-45 (8P8C) コネクタはカテゴリー7では使用できない。
カテゴリー6までのケーブルと置き換え可能として
カテゴリー7対応を謳ったケーブルが市販されているが、それは全て規格外である。

Wikipediaカテゴリー7ケーブルより引用

本来のカテゴリー7はRJ-45コネクタを使用しません。

カテゴリー7用コネクタ

電子情報技術産業協会
ツイストペア配線最新規格動向と関連情報より引用

カテゴリー7ではTeraコネクタ、ARJ-45コネクタ、GG-45コネクタを使用します。

Buffaloカテゴリー7

Buffalo公式から引用

Buffaloで取り扱っているカテゴリー7LANケーブルのページを見ると
※部分に、カテゴリー7対応はケーブル部分のみ、プラグはRJ-45仕様と書かれています。

Buffalo広報担当者は日経XTECHの取材で
GG45を使える機器が少ないので、利便性を考えてRJ-45を採用していると答えています。

市販されているカテゴリー7のケーブルは
プラグがRJ-45の時点で、カテゴリー7本来の性能を発揮できません。
伝送帯域500MHzのカテゴリー6Aと比べて
現段階では劇的な変化を体感することはないはずです。

カテゴリー8はRJ-45?

カテゴリー8はRJ-45コネクタとなっています。
しかし、従来のカテゴリー6以下と違い
規格上も含めて全てSTPである点に注意です。

Cat.7/7Aのケーブルは、Cat.6(6A)以下とは違い、規格上も含め全てSTPである。
そのため、一般においても、UTPケーブルとは扱いが違うことに注意が必要である。

Wikipediaカテゴリー7ケーブルより引用

カテゴリー7もそうですが、カテゴリー8もTIA/ EIA/ANSI規格ではSTPケーブルです。
従来のUTPケーブルとの違いですが
STPケーブルは内部にアルミホイルや軟銅線によるシールド層があります。

UTPとSTPはなんぞや?と思うかもしれませんが
・UTP=Unshielded Twist Pair アンシールド ツイスト ペア
・STP=Shielded Twist Pair シールド ツイスト ペア
つまりシールドがないのがUTP、シールドがあるのがSTPと思ってください。

STPのシールドはノイズ対策です。
サーバーなどでは、大容量データによる内部ノイズを抑制する効果があります。

その為、STPケーブルではアースが必要になります。
アースがないとケーブルにノイズが溜まり
逆に速度が遅くなったり、不安定になる可能性も出てきます。

カテゴリー8のコネクタはRJ-45ですが
規格通りのSTPケーブルならば、RJ-45はメタル仕様のコネクタで
アースを前提に考えた作りになっているはずです。

カテゴリー7もカテゴリー8も、一般家庭で必要かと言われたら
個人的に現時点では、UTPケーブルのカテゴリー6Aでも
十分ではないかと思います。

そもそもケーブルを販売している、サンワサプライ自体がQ&Aで回答しています。
ここではSTPと言わず、FTPと呼んでいます。

Q:UTPとSTPの性能差はどこにありますか?

A:UTPはアンシールディッドツイストペアの略称で、「シールド無し」の意味です。
STPはシールディッドツイストペアの意味なのですが、規格上の正式名称ではありません。
正式にはFTP(フォイルディッドツイストペア)と呼びます。
また、規格の中にはScTPと呼ばれるケーブルが存在します。
ScTPは外周だけではなく、それぞれのペアもシールドされており、
非常に硬く、取り回しがしにくいケーブルです。
UTPとFTPの差ですが、外部からのノイズには双方とも無力です。
シールドは外部ノイズではなく、ケーブル自体から輻射されるノイズ抑制に効果があります。
特にEMIと呼ばれる低周波数の電磁ノイズ(電力線、モータ、蛍光灯)には、
全くと言って良いほど効果が期待できません。
むしろ、外皮のアース部分が伝導体となって、
異なる電位(アースがきちんと行われていない機器にたまっている電圧)の機器が接触し、
ケーブルの中を流れたり、場合によってはスパークし、逆にノイズを発生することがあります。
通常使用にはUTPを用い、外部ノイズの遮断には鉄管などの磁性体(磁石のくっつく物体)で
覆うのが一般的で確実な方法です。

サンワサプライ公式ページ
LANプロよくある質問より引用

通常使用にはUTPを用い」とあります。
内部のノイズはSTPで抑制して、外部のノイズ対策には
鉄管で覆う必要がある家庭はそうないですよね。
販売されているScTPのカテゴリー7,8のケーブルは
通常使用を想定しているわけではない、という正直なQ&Aなのでしょうか。

カテゴリー6Aには、UTPケーブルもSTPケーブルも両方存在するので
性能重視で買うならばUTPの6Aを選ぶのが、家庭用には良いかもしれませんね。
カテゴリー6以下はUTP専用なので、STPかどうか気にする必要はありません。
カテゴリー5eの方が6Aより安い傾向にあるので
少しでも値段を抑えたいなら5eでも良いでしょう。

とはいえ、商品としてカテゴリー7や8を謳った製品を各社出していますので
自分の考えや信念により、そちらを選ぶというのも個人の自由です。
今回の話は製品を選ぶ時のちょっとした
参考程度にしていただけたらと思います。